Whenever大連

大連ライフをもっと楽しくする日本語メディア

billibilli
インタビュー
2024年2月1日

26年間受け継がれてきたホスピタリティーの精神で

我が家のような居心地の良さを提供するホテル

大連瑞詩酒店 総経理

衣 慶富氏

(Yi・Qing Fu)

 1981年庄河市生まれ。吉林大学ビジネス英語学科卒業後、大商集団に入社。本部の管理部門を経て2011年9月、集団傘下の大連瑞詩酒店総経理に就任。2012年9月、集団傘下の盤錦瑞詩酒店の建設、開業に携わり、両瑞詩酒店の総経理を務める。

大連瑞詩酒店はどのようなホテルですか。

 大連瑞詩酒店が開業したのは1998年で、開業26年目を迎えるホテルです。当時は五つ星ホテルは数軒しかありませんでしたが、大連は美しい臨海都市として人気が高い観光地だけに、国内外の大手資本によるホテルが相次いでオープンし、ホテル業界の競争は激しくなっています。施設面では新しいホテルの方が充実していますが、私たちはきめ細やかなサービスでこの厳しい状況を乗り切ろうと考えています。

大連瑞詩酒店の特徴を教えてください。

 多くの日本人にご利用いただき、現在は大商集団の傘下にあるホテルですが、設立当時は日本の企業が投資し、日本の建設会社によって建設されました。設備や建材なども日本から輸入されたものを使用し、建築方法も当時の日本の最先端の技術が導入されたものでした。そのような背景から、日本人を含む多くの外国人宿泊者にご利用いただいてきたホテルで、一番多い時期(2004〜2009年ごろ)は4割以上が日本人のお客様でした。

小売業界のトップである大商集団傘下である特徴はありますか。

 自社農園で仕入れたコーヒーや、ワイン、クラフトビール、オリーブオイル、自社農場のアンガス牛肉、中国茶などがあげられます。これら大商集団ブランドの商品はホテルの中でご購入いただけますし、一部はレストランでもご提供しています。これら外国産の商品は、世界の良いものを中国国内に届けたいという理念の下、単に貿易をして輸入しているのではなく、農園などを産地から買い上げ、生産から輸入、販売までを全て自社で行っているという特徴があります。

ホテル業界の変化について教えてください。

 従来のホテルは単純に料金に見合った宿泊施設としての機能を求められていたかと思いますが、ここ数年では、人々の観光や宿泊ニーズの変化に合わせて、ホテルの業態にも変化が起きています。大連でも、単純にホテルの数が増えただけではなく、民宿やグランピング施設、コンテナ型ホテルなど多様化が進んでいます。ですからホテル業界は今までのように場所、宿泊料金、清潔さだけでは宿泊客にアピールすることが難しくなっています。ホテルのコンセプトを明確にし、宿泊客に驚きや感動を与えるような仕掛けやサービスが求められるようになっているのです。

どのようにその変化に対応していますか。

 私たちが取り組んでいるのは「人の心の温かみを感じていただくこと」です。最新の設備もなければ、新鮮な驚きを提供することはできませんが、ご利用いただくお客様に我が家のように感じていただけることを一番に目指しています。

大連でホテルを営んでいく上で心がけていること

 コロナ禍が明けて初めての昨年の夏は連日満室となり、非常に多くのお客様にご利用いただきましたが、大連は観光シーズンがはっきりしており、7月8月を過ぎると宿泊客も一気に減ります。ですから長期滞在のお客様や、ビジネス利用のお客様にご利用いただくことが大切です。

力を入れて取り組んでいること。

 26年もの歴史を持つ老舗ホテルとして、受け継がれてきたホスピタリティーの精神で、ご利用いただけるお客様に心地の良い滞在時間をお届けしたいと思います。特に長期でご利用になるレジデンスのお客様には、母国を離れて暮らす不安を少しでも取り除き、安心して生活していただけるよう、スタッフ一同が親身になって取り組んで参ります。また日本との関係が深い街にある日本式のホテルとして、きめ細やかなサービスに力を入れています。日本人のスタッフや、日本語対応が可能な中国人スタッフが在籍し、お客様との円滑なコミュニケーションを心がけております。長期滞在のお客様向けに感謝イベントや季節のイベントなども定期的に開催しており、端午節や中秋節、クリスマスなどにはホテルブランドのお菓子などのギフトをお贈りしています。

印象に残っているエピソードはありますか。

 日本人のお客様は一度慣れ親しんだ場所をお変えにならない、要はリピーターになってくださる方が多いです。出張でいらっしゃっていた日本のビジネスマンが「いつか総経理になって、またここに泊まりたい」とおっしゃってくださり、数年後本当にそれを実現して大連瑞詩酒店のレジデンスをお選びくださったことは印象的でした。この方のように、大連で過ごす日本人の皆様に、大連瑞詩酒店を我が家のように感じていただくことが我々の目標です。

日本に行ったことはありますか。

 私が大連瑞詩酒店で仕事を始めたのは2011年ですが、4年後の2015年に初めて日本を訪れました。それまでにも大連で多くの日本人の方と関わる機会はありましたが、実際に訪問して風景や人々、衛生レベルの高さなどに大変驚きました。そして日本で生活する中国人も多く、私の周りでも日本で定住して家庭を築いている人が少なくありません。

ホテルの仕事はどのような仕事ですか。

 就任して12年が経ち、当時はまさか小売業界から来た自分がここまで長い時間ホテルで務めることになるとは思いませんでした。入る以前は、ホテル業界を表面的に見ていたため難しいとは思っていませんでしたが、実際に中に入ってみると実に多くの考慮すべき点があり驚いたものです。しかし、心を込めたサービスを通してお客様に喜んでいただくというのは小売では経験できないことで、やりがいのある仕事だと思います。

大連と日本についての展望。

 コロナ禍が明け、大連と日本を結ぶ定期便も本数が戻り始めていますし、大連は日本との関係が深く、日系企業が多く進出しており、それらの企業で働く中国人も多いです。まだコロナ禍前のような往来が復活してはいませんが、今後は市民レベルの交流、経済面での関係がより活発になっていくと考えています。これからも日系企業や旅行者などと交流を深めて民間交流の一手を担いたいと思っております。当ホテルをご利用いただく皆様もぜひお気軽にご意見をお寄せいただき、交流の場として当ホテルをご活用いただければ嬉しいです。