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インタビュー
2023年4月1日

大連でブランドを新規に立ち上げた若き起業家ママの喜ぶ商品と独自のセールス理論で急成長

大連柏菲生物科技有限公司

王 莹氏(Wang・Ying)

 1989年生まれ。大連市在住。2016年夫の魏園園氏とともに、大連柏菲生物科技有限公司を設立し、ブランド「欧貝爾OUBEIER」を立ち上げる。愛称は「小奶瓶(小さい哺乳瓶)」。Douyinアカウントwy36999999999。

どのような会社ですか。

 大連柏菲生物科技有限公司は母嬰(ママ+ベビー)ブランド「欧貝爾OUBEIER」の製品研究開発、販売などを行う企業で、2016年に設立しました。

どのような商品がありますか。

 最初に発売したのはベビーオムツとベビー用スキンケア(ソープ、シャンプー、保湿クリーム)です。今はそれらに加え、妊娠中から使える大人用スキンケア、生理用品、栄養ドリンクシリーズ(酵素、コラーゲンなど)と延べ50種類の商品を販売しています。

どうしてこの会社を立ち上げたのですか。

 元々は他人のブランドをマネジメントする仕事をしていました。その仕事を通して私たちは自分のセールスチームと販売ルートを獲得することができたので、自分のブランドを立ち上げる決意をしました。設立当時、まだ中国で名前の知られた中国産のママ+ベビー用品が少なく、大部分の人が日本や海外の製品を購入している状況でした。その当時中国で2人目の出産が可能になった時期で、この「空白の市場」に挑戦してみたいという想いがあり、夫と一緒に会社を立ち上げました。

これまでに困難はありましたか。

 私はやると決めたら背水の陣でとことんやる人間です。ブランドを立ち上げる際には、自らも研究開発に参与し良い商品を作ったあとは、全ての資金を発表会に注ぎ込み、芸能人を招待し、大々的にPRを行いました。最初の立ち上げ時期は困難でした。中国産のベビー用品がこれまでそもそもなかったから、簡単には受け入れてもらえないのです。しかし商品に自信があり、強靭なセールスチームを持ち売り方のノウハウも知っていたので、軌道に乗せるまでそう長い時間はかかりませんでした。

 コロナ禍の3年間も利益は成長し続けました。インターネットを有効に活用する土台が出来上がっていたので、たとえコロナ対策で実店舗を開くことができなくても商品を販売するルートが確保できていたのです。

 今の世界で誰もがインターネット思考を学ぶべきだと思います。学ぼうとしなければ淘汰される時代です。ビジネスにおいてIT企業であろうとそうでなかろうと、インターネットを切り離して考えることはできません。

本部は大連ですか。

 はい。私は大連出身ではありませんが、大連が好きなので、大連に定住し起業する道を選びました。大連の海が好きで、海鮮も好きで、過ごしやすい街だと思います。

大連のビジネス環境はいかがですか。

 販売拠点は中国各地にあり、インターネットを活用して運営しているので場所はあまり大きな問題ではありませんが、大連はベビー用品店が比較的に少ない街です。地理的に海外が比較的に近く、直接韓国や日本で買い物をする人が多いからなのかもしれません。しかし店が少ないからといって商機がないわけではなく、大連の客も多いです。確かに大連は人口流出も激しい傾向にありますが、大連で家を買い暮らす人はまだまだ数百万人います。その街に子どもを産み育てる人がいる限り、ビジネスチャンスがあります。

夫婦で会社を運営する中で困難はありませんか。

 私たちはお互いに能力を補い合っていると思います。夫は管理能力に非常に長けた人物です。そして私は実行能力に長けています。「君たちはたとえ夫婦にならなかったとしても、最高のビジネスパートナーだね」と言われたことがあるほどです。

 私生活では私はだらしない方で、料理もしなければ旅行に行く時のホテルや航空券の予約も全て夫に任せていますし喧嘩することもほとんどありません。一方仕事においては私も夫も強気でそれぞれに考えがあり、衝突することももちろんありますが、お互いに評価していてお互いから学ぶことも多いので、やはり縁に恵まれたと思います。

どのような販売ルートで商品を販売していますか。

 ブランドを立ち上げた当初は、インターネットショッピングもまだ少なかったので実店舗での販売を前提としていました。今もメインの販売は実店舗です。専門店が全国に2千軒近くあります。また、専門店以外のベビー用品店も我々に加盟することで全体の売上の向上をサポートします。中国全国のあらゆる街に専門店があります。特に山東省や河南省は店舗数も多いです。これらの地域は子どもの数が多く、需要量が大きいのです。上海や北京といった大都市はやはり海外製品を使いたい層も多く数は比較的に少ないです。

 今年は実店舗だけでは窓口として少なく、インターネットの拡散力を利用しない手はありません。DouyinやWeChatを活用したり、ファングループを作って固定ファンを作り、リピーターの獲得に繋げています。

ファンを作るためにどのような施策を行っていますか。

 固定ファンを作るために、さまざまな仕掛けを用意しています。例えば妊娠中の女性にオムツや化粧品のサンプルをプレゼントしてブランドを知ってもらい、出産後に欧貝爾のオムツとベビーを一緒に撮影して写真を代理商に送るとさらに欧貝爾製品をプレゼントするという活動をしています。これにより、この妊娠中からブランドのファンにさせ、その後何年間もオムツや欧貝爾製品を使ってくれるようになります。

ターゲット層は子どものいる女性ですか。

 はい、私は一貫して子を持つ女性、つまり「ママ」にサービスを提供しています。私も一人のママであり、私のビジネスを通して多くのママが幸せになってもらいたいのです。なぜならママは大変だからです。子育てというのは本当に大変な仕事です。だからこそ、ベビー用品だけではなく、大人のスキンケアや生理用品、栄養ドリンクなどもラインナップに揃えているのです。自分の子どもには安心して使える商品を使ってもらうのと同時に、ママ自身に投資してもらい美しくなり、心から元気に過ごしてもらうことで家族全体が幸せになる。それが私の目指したいところです。

 個人的にDouyinでドラマを毎日更新し、100万のファンがいたこともあります。その当時は周囲の人間に義母や夫を演じてもらい、私が嫁役で嫁姑のいざこざを毎日1分程度のドラマにして配信していました。その頃ターゲットにしていたのもママです。どんな仕事においてもそうですが、ターゲットを絞らないと物事はうまくいきません。私はビジネスにおいて一度もママ+ベビーから離れたことがなく、私にとってはこの限られた層を深掘りすることで十分だと考えています。

何が一番売れていますか。

 オムツです。一番始めにブランドを立ち上げたときに開発したのはベビー用スキンケアラインで、肌に優しい成分や使い心地はもちろん、ボトル一つ一つをとっても他に真似のできない良いものが出来上がりました。しかしこれらの商品の消耗はゆっくりで、消費者が再度商品を購入するまでに数ヶ月がかかってしまいます。ある時子どものいる友人とオムツの話題になり、オムツは毎日消耗するものだと気づきました。そこで私はオムツを売ると決めました。

 夫には反対されましたが、自ら工場を探し、オムツを研究し、勉強しました。日本や韓国の紙オムツを手に入る限りの全ての種類を買ってきて、自らの手で分解して中身を研究しました。そして商品が完成した後は実際に使って漏れた、吸水ゼリーが外に出てきた、赤ちゃんのお尻が赤くなったなどの問題に対応し、商品を改良していきました。子育てしている人ならわかると思いますが、オムツはよっぽどのことがない限り同じブランドのものを使い続ける人が多いです。当然リピート購入が増え、市場を牽引するアイテムとなりました。

どのようにして起業に至るビジネス思考を学んだのですか。

 私は農村出身で、中学校も卒業していません。なので私のビジネス思考や経験は全て実戦で学んできたものです。夫のビジネススキルから学ぶことも多いです。全ての成長は倒れては立ち上がって、その経験を整理して、また上に登ることの繰り返しです。そして人はもう後戻りできないという状況でこそ成功することができると思います。逃げ道がないからこそ、前に進むしかないからです。前にたった半歩でも進めたら勝ちです。そうやって背水の陣を引いてここまでやってきましたが、私はまだまだ努力が足りないと感じています。周囲にはもっと命懸けで仕事をしている人がたくさんいます。ビジネスの世界で戦い、企業家として成功するためには毎日止まることなく学ばなくてはなりません。私は起業という旅路の中で、まだまだ企業家を名乗るまでは長い道のりが待っていると感じます。

目標や夢はありますか。

 立ち上げて6年が経ちましたが、まだ中国には欧貝爾のようなブランドは出てきていないと思います。なぜなら前例がなく難しいことをやっているからです。ママとベビーの使うものに求められるレベルは高く、高い品質でかつ中国の一般市民が購入できる値段設定であることも必要です。1種類2種類のヒット商品を生み出すことは簡単かもしれませんが、私はヒット商品ではなく、ブランドを大きくしたいのです。私は野心が強く、将来的には欧貝爾というブランドを見れば誰もが私のことを思い浮かべるような存在になりたいと思っています。そして中国人が誰でも知っているような企業家として知られるようになることが私の夢です。