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インタビュー
2023年6月1日

利他の心で患者を想い価値を提供する日本のトップクラスの医療美容を大連で

大連星顔伊美クリニック日本式美容センター院長

株式会社ジャパンメディカル代表取締役社長

曲 拓氏(Qu・Tuo)

大連出身。北京航空航天大学卒業、九州大学(日本)修士課程修了、ジャパンメディカル初の中国籍社長、国際医療学科科学会講師、日本美容外科学科会員、日本歯周病学会会員。2013年、日本文部科学省のアジア人材計画300人のうちの一人に選ばれる。2015年、日本法務省高度専門人材に選ばれる。2021年帰国後、星顔伊美クリニックを立ち上げる。

 日本のサービス理念と、国際的な業界水準を導入した医療美容・審美歯科クリニック。日本の最新設備を導入し、日本国内に負けない医師たちの高い技術力が特徴だ。整形外科・アンチエイジング・健康管理・日本の医療機関と提携した医療旅行など全面的なサービスを提供する。

 今月は2022年に開業した同クリニックの院長曲拓氏を取材。日本で10年以上生活し、日本のハイクラス美容医療に従事してきた彼の理念を伺った。

なぜクリニックを立ち上げたのですか。

 私は日本へ進学してから昨年まで日本で生活し戻るつもりはありませんでした。考え方が変わったのはコロナの影響です。これまで日本で一流の医療サービスに接し、中国人として初めて出席した学会も数多くあります。日本の素晴らしい医療を中国で広めたいと思い、帰国し、このクリニックを立ち上げることに決めました。

なぜ大連を選んだのですか。

 まだ市場が小さく、開拓するチャンスがあると感じたからです。私が提供するのは世界トップクラスのハイレベルな医療サービスです。開業する前に、成都、杭州、深圳、上海、北京、瀋陽などさまざまな都市へ視察に行きましたが、大連にはまだ高品質な美容医療が少ないと感じました。私は大連出身ですから、故郷に日本のハイクラスな医療を広めたいのです。中国に戻っては来ましたが、私は日本にもまだ会社がありますので、距離的に近い大連が私にとっても最適だと考えました。

大連の医療美容の市場をどう見ていますか

 ハイクラス・ハイレベルなものが少ない。つまり品質で勝負できないとなると、大部分が価格競争になります。ひいては明らかに原価を下回る価格でサービスを提供している機関を見たこともあります。安い価格で患者の導線を作り、さらに高価格のサービスで収益を得るというモデルなのかもしれませんが、このようなやり方は市場にとって良くありません。これは大連だけではなく中国全体の傾向です。

 日本では患者が求める結果と技術の合理性、安全性を求めてやってきます。市場にとっても、患者にとっても、私たち医療機関自身にとっても、中国の市場もそうあるべきです。

星顔伊美クリニックの位置付けは

 私のクリニックで提供しているサービスの価格は日本の同等のものと比べるとやや安いのですが、大連全体を見れば高いです。本当に良いものを使おうとすると、それだけコストがかかります。単純に価格で比較するのではなく技術、設備、製品、安全性をよく理解して、その上で利用する医療機関を決めていただければと思います。

開業半年、利用者の数はいかがですか。

 まだ理想には到達していません。現状は大連外から来る人が多いです。彼らは日本で私を知っていて、信頼しているから大連まで来てくださるのです。それは大変嬉しいことですが、まだ大連内での知名度は低く、これからだと感じています。

整形することについて偏見を持つ人もいますね。

 私は美容整形が悪いことだとは全く思いません。しかし全ての人を同じような顔立ちにすることや、個人の特性に合わない施術を無理にすることは間違っています。日本はその点で個性を活かしながら自然に施術する技術が非常に高く、中国でもそのような自然な美しさを広めていきたいと思います。

 整形することで、自分のコンプレックスを自信に変え、明るく前を向いて行ける。それは美容整形が人にもたらす素晴らしい価値だと思っています。

健康管理とはどのようなサービスですか。

 健診と、その後のアフターサービスです。健診はこのクリニックで受けられる項目もありますが、提案しているのは訪日人間ドックです。私の日本の会社は経済産業省の認可を得ており医療ビザが発行でき、保険を使うことができます。

 日本の高齢化は非常に大きな問題ですが、世界的に見ても、健康な高齢者の比率が高いです。これは様々な要因に基づきますが、一つは健康診断です。日本人は定期的に健康診断を受けており、日本人の健康寿命に大きく貢献していると思います。

 日本の人生100年時代は間も無くやってくると思います。それを支える技術がもう既に整っているからです。私は全ての人が享受する権利があると思っており、理念をまず中国人に理解してもらいたいのです。まずは知ることが大切だと思います。

日本にいかず、中国で診療や治療できますか。

 健診に関しては訪日人間ドッグ以外に、中国で受けられる検査項目を受けて、提携する日本の医師により遠隔診療を受けるという方法もあります。当クリニックには中日医療通訳者も在籍します。中国国内で治療できる項目もありますが、できないものは日本で治療を受けていただくことになります。例えば当クリニックで外科手術はできませんが、日本の外科医師による治療案を中国にいながら受け取ることは可能です。

全身アンチエイジングとは

 目には見えない、また普通の健康診断や検査では発見しづらい項目を日本では検査することができます。その結果を元に、老化を防ぐ様々なプランを提示します。

 例えばストレス値。ストレスがたまると顔色が悪くなることも医療で説明できます。体内には大量の活性酸素が産出され、それが本来コラーゲンを生成するはずだった体の成分を消耗してしまうのです。それにより憔悴した顔つきになってしまうのですね。これが長期化すると、皮膚といった表面だけでなく内臓にも影響が出ます。

 このような病気になる前の不調を引き起こす慢性的な炎症やストレスを、現代の医療では検査で数値化することができます。

仕事で大切にしている考え方はありますか。

 一番大切なのは利他の心です。もしこの考えがなければ、医療に従事することは非常に危険なことです。全ての患者に対して、検査、診断、治療プラン、そして治療の実施に至るまで全てが利他の角度で出発しなければなりません。もし私の医療が患者に貢献できないならば、私は医療を侮辱しているも同然です。医者は白衣を着ています。その白衣に汚点があってはなりません。

 医療の本質は患者から苦しみを取り除いたり、患者が新たな喜びを見つけることです。患者から認めていただいて初めて、金銭といった価値を得ることができます。医療であれ、他の仕事であれ、相手に価値を提供できずに得たお金は全て騙し取ったものだと私は思っています。そうではなく、正しい対価を得たいもの。だから誰もが相手を想い、利他の心で価値を提供しなければいけないのです。

日本との縁を教えてください。

 一番最初の縁は高校で日本語を学んだことです。そして日本に興味を持ったきっかけは同級生が持っていたSONYのウォークマンです。こんなに小さくて、音楽が聴ける機械を作ることができる日本へ行けば、さらに衝撃的で便利な機械が自分にも作れるかもしれない!そんな好奇心がきっかけで、日本へ留学する道を選びました。

 文科省の奨学金制度を利用して日本で留学し、修士課程を修了し日本で就職しました。日本の大学で学んだのは半導体で、その後も半導体関係の企業で働いていました。なので元々は医療関係の仕事とは全く無縁でした。

医療分野に進もうとしたきっかけは。

 実は子どもの頃から医療関係に興味がありました。家族に医療従事者がいたこともあり、生物の書籍を片手にカエルを解剖してみたこともあります。進学の際は惜しくも医学の道に進むことが叶いませんでしたが、日本で医療美容の道に進むきっかけがあり迷わずに飛び込みました。

目標を教えてください。

 まずは私たちの理念をより多くの人に知っていただき、認めていただくことです。私は故郷の大連が好きです。中国南方に比べて経済成長が遅いとは言われていますが、気候も良く、環境面から見て日本と大きく差があるとは思いません。大連の発展に医療美容の分野から少しでも貢献できたらと思っています。利他の心で、本当に高品質なものを提供し、患者にとって理想的な結果を提供したいという理念がまだ受け入れられていない。またそれを実現するための価格が今の市場と離れているという現実があります。市場自体を変えることですから、時間はかかると思います。自分が正しいと信じるものを、これから広めていきたいと思います。読者の皆様も、もしご興味があればぜひクリニックへ足をお運びください。