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インタビュー
2024年6月6日

邦人保護と日系企業の支援に全力を尽くし 日本と大連の交流の更なる発展へ

 5月大連アカシア祭りが開催され、今後も日本商品展覧会などの日中交流イベントが開催を控える大連。今月は、3月に在瀋陽日本国総領事館在大連領事事務所所長に就任した浜田伸子所長に話を伺った。

在瀋陽日本国総領事館在大連領事事務所 所長

浜田 伸子氏

(はまだ・のぶこ)

 1968年和歌山県出身。大阪外国語大学で中国語を専攻したのち、1991年に外務省入省。1992年から1994年、天津の南開大学での留学を経て、1994年在中国日本国大使館へ配属。その後、1996年外務省アジア局中国課、2005年在ニューヨーク日本国総領事館、外務省領事局等での勤務を経て、2024年4月在瀋陽日本国総領事館在大連領事事務所所長に就任し、現在に至る。

大連領事事務所について

 当事務所は、大連市を管轄する日本政府の領事事務所です。大連における邦人の皆様の安全、及び日系企業の皆様が円滑に経済活動を行える環境の確保を役割として、私を含め日本人職員は11名が在籍し、領事、査証、経済、広報、文化交流、地方交流等の業務を担っています。なお、当事務所は同じ遼寧省内にある在瀋陽日本国総領事館に属しており、瀋陽総領事館は大連市を除く遼寧省各市、吉林省、黒竜江省が管轄となります。

大連の特徴

 現地の方と交流させていただき、大連は人柄の温かい方が多いと感じています。また海と山の自然に囲まれて環境も良く、歴史的建造物が多いのも特徴だと思います。経済面においては、日系企業が約1700社あり、日本との繋がりが深く、日本語を話す人材も多いです。こうした場所で日系企業のための環境を整えるお手伝いを、当事務所として引き続きさせていただければと思っています。

中国語を志した理由と、外務省に入省した理由

 最初に中国語に興味を持ったのは「発音が綺麗」という理由でした。大学入学時に複数の言語から専攻を選ぶ時に、当時中国は改革開放政策が始まった時期で中国語のニーズが高まっていたということもあり、周囲の人々から強く勧められた中国語を選びました。就職活動の時期には、外国との交流に携わる仕事、中でも公的な仕事がしたかったため外務省を希望しました。

中国にはこれまで来られたことがありますか。

 外務省に入省後、南開大学で2年間留学させていただいた後、北京にある大使館で2年間勤務しました。また1997年、当時の橋本龍太郎総理の中国訪問に同行し、北京と瀋陽、大連を訪問しました。結婚を経て、東京で子育てしながらの勤務期間中は、中国に関する仕事とは遠ざかっていましたが、何らかの形で関わりたいとずっと思っていたので、この度大連勤務の機会を頂き嬉しく思っています。大連には、留学時代の92年に旅行で、また前述の橋本総理の訪中時には出張で、計2回来たことがありました。長期で滞在するのは今回が初めてです。

中国の方との交流で印象的なことはありますか

 天津で留学していた頃は、大学内だけでは現地の人々との交流が限られていたため、休みを利用して列車で中国の色々な場所を旅していました。列車の中では様々な交流や出会いがあり、家まで連れて行ってもてなしてくれた方もいらっしゃいました。中国の方たちは心が温かいと感じたことを思い出します。28年ぶりに中国を訪れても、その当時の印象からは変わらずやはり人の温かさを感じます。

これまでで最も印象に残った仕事は何ですか。

 外務省に入省して33年、中国関連では、天皇両陛下(現在の上皇両陛下)の訪中の受入れや、橋本総理訪中の随行としてお手伝いさせていただき、昨年は林外務大臣(当時)の訪中に随行して外国メディア向けに大臣訪中の意義や成果を広報する仕事をさせていただきました。

 広報以外では、7年半パスポート関連の業務を通じて領事の仕事の大切さを実感しました。また、外国青年を招致して地方自治体等で任用し、外国語教育の充実と地域の国際交流の推進を図る「JETプログラム」など人物交流の仕事をしていた時期もありますし、経済関連では内閣官房で、日本企業の海外進出支援等に関する政府の成長戦略とりまとめを担当したこともあります。大連に赴任して当地の事情等は未だ勉強中ではありますが、領事、経済、広報文化などこれまでの実務経験も領事事務所で活かしていきたいと考えています。

 中でも1994年、初めて中国赴任した際に草の根無償資金協力の現場に立ち会ったことはとても印象に残っています。これは日本が開発途上国を支援するもので、中国に対しては1990年から2018年まで行われていました。私が実際現場に行ったのは四川省儀隴県で、中学校の改修を行った案件の校舎完成式典でしたが、現地では大勢の方々が通りに出て

歓迎して下さり、食材の調達も難しい環境の中、精一杯のご馳走でもてなしていただきました。日本政府の事業が現地の方々に喜ばれているのを目の当たりにし、胸が熱くなりました。

初訪中から現在に至るまで、中国の変化はどのような点が印象的ですか。

 まさに隔世の感、留学していた頃の中国はまさにこれから発展していこうという段階で、乗り物の中でも人びとが大きな声で会話していた印象でしたが、昨年北京でも乗客が静かに無線イヤホンで音楽を聴いたり、スマートフォンを見て過ごしているのを見ただけでも変化を感じました。街の外観も様変わりですが、電子決済やデリバリーサービス、タクシー配車サービスなど、やはりスマートフォンを中心としたIT化の変化が大きいと感じます。

仕事で大切にされている信条や信念を教えてください。

 行政に携わる者として、誠実に、適時的確な対応で関係する皆様に接していきたいとの思いは持っています。微力ですが皆様のご要望に添えるように行動しようと心がけています。

プライベートの過ごし方について教えてください。

 3人の子どもの子育てと仕事に忙殺され、唯一の自分の時間は昼休み、という時期が長く続きましたので、三男の出産後にその時間に、外務省内のサークル活動で始めたのがいけばなです。お花に触れると心が安らぐので、どんなに仕事が忙しくても、子育てが大変でも続けてきました。

 また、歳を重ねて体を動かすことの重要性に気づき、数年前からランニングを始めました。大連では最近は東港商務区から棒棰島賓館まで、上りは歩きも入れつつ、のんびりと走るルートがお気に入りです。今年の大連マラソン大会にも出場したいと考えています。

大連在住の日本人へ呼びかけたいことはありますか。

 大連は非常に生活しやすい街ではありますが、我々日本人にとっては外国であることに変わりありません。ですから「海外にいる」という意識をしっかり持っていただき、もし困ったことがありましたら領事事務所へご相談下さい。自然災害など不測の事態に迅速に対応できるよう、中国国内に3ヶ月以上滞在の方は「在留届」の提出をお願いいたします。ご登録の方へ外務省や領事事務所から現地安全情報や海外子女教育に関するお知らせなどをリアルタイムでメール配信しております。

在大連領事事務所で実現したいと考えていることは何ですか。

 当事務所としましては、大連の在留邦人の皆様の安全確保・日系企業の支援を主要な任務として全力を尽くすとともに、日本と大連の交流を一層後押しできるよう尽力する所存です。5月には大連アカシア祭りが開催されましたが、これから予定されているイベントとしては、9月の大連日本商品展覧会などがあります。これら大連を代表する日中交流イベントが盛り上がるよう協力していきたいと思います。また、大連駐在の日系企業と大連市政府との定期的な対話枠組みである大連日中アカシア懇談会が有意義な意見交換の場となるよう、支援させていただきます。