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インタビュー
2024年4月3日

目指すのは日本と中国のブリッジ役 交易広場を中心に更なるビジネスの展開へ

目指すのは日本と中国のブリッジ役 交易広場を中心に更なるビジネスの展開へ

欧力士(中国)投資有限公司

常務副総経理

呉 桐桐氏(ご とうとう)

 1980年生まれ、大学にて日本語を専攻。卒業後に日本へ留学し、早稲田大学にて金融学MBAを取得。ソフトブレーン株式会社、及び中国市場戦略研修所にて勤務。2010年オリックスに入社。現在はオリックス集団大中華区高級副総裁、オリックス(中国)投資有限公司常務副総経理、オリックス大厦(大連)有限公司董事長を兼務。

オリックス中国の歩みについて教えてください。

 オリックスは、1964年にリース事業から開始した日本金融サービスグループです。早い段階から海外進出に目を向け、中国には81年に進出しました。以来、リースやレンタル、投資、金融サービス等の業務を幅広く展開しています。81年に中国における初のリース会社を設立し、2004年には天津にレンタル会社を設立。05年に上海にリース会社を設立しました。そして、09年に大連に中国本社、欧力士(中国)投資有限公司(以下、オリックス中国)を設立しました。

 オリックス中国は中国市場における経営の一元管理を行うとともに、既存のリース、レンタル事業をさらに推進し、自動車リースや航空機リースなど、多様化した金融関連サービス業務を充実させています。さらに、中国での投融資事業(金融関連、インフラ、自動車、船舶など)を通して事業を拡大しています。

自社の強みとは何でしょうか。

 オリックスの強みは「多数の事業領域を保有しているため、収益を分散化できていること」「世界40カ国で事業展開していること」などが挙げられますが、みんな新しいことが好きで、楽しみながらビジネスを生み出すという企業風土も強みではないかと思います。

 また海外展開においても他社とは異なる強みがあります。オリックスの海外進出は、各国に合わせたローカライゼーションが基本方針とされました。日本から駐在員が行っても現地で有力な会社を創り上げることは至難の業。現地に根差した経営陣が中長期的な視点に立って経営にあたることがふさわしいという考えがあったからだそうです。現地に根差した経営陣が、その土地の環境や風土に合わせたやり方でビジネスを発展させました。

大連に拠点を置くメリットはありますか。

 日系企業が進出する上でのメリットとしては、優秀な日本語人材が豊富であることや、日本との関係が深く、ビジネス関係者の多くが日本語だけではなく商習慣への理解が深いことなどが挙げられます。また中国で外資企業がビジネスを行っていく上では地元政府との対話が非常に重要ですが、大連市は外資企業との対話にオープンで、特に日系企業の誘致に積極的です。

交易広場について紹介ください。

 交易広場は41階建て、高さ202.08メートルのオフィスと商業施設を備えた複合ビルです。2019年3月に着工、多数の日系メーカー製品を数多く採用したビルです。

ビルの他にはない特徴とはなんでしょうか。

 主要構造体は鉄骨鉄筋コンクリート造で、中国東北地方では初のLeed/Wellプラチナのダブル認証を獲得予定で、省エネや環境、従業員に配慮したビルになっています。そしてカーテンウォールには最先端の省エネ性能を備えたガラスを採用しています。また、設備には日系メーカー製品を多数使用しています。(ダイキン空調・日立エレベーター・フジテックエスカレーター・TOTO衛生器具など)

そのほかにも、インテリジェンスエレベーターにより、待ち時間が少なく、ストレスを軽減します。さらには受電においては、地域内の異なる変電所から2回線にて受電を行い、片方の回線に問題が生じた際にも、別回線からの電力供給を賄う事が可能となることから停電のリスクを軽減しています。

どのような企業が入居するのに適していますか。

 金融、銀行、保険、証券、製造業、貿易、サービス、物流業界など企業や各国の公的機関及び日系、欧米系企業などと考えます。交易広場をハブとしてご活用いただければ幸いです。

大連の中でどのような存在になりますか。

 日中間のハブ及び、日系企業の相談窓口になりたいと考えています。

東港商務区は大連市の中でどのような場所ですか。

大連東港金融エリアは大連市にある中山広場の東方面に位置しています。各金融機構の本部事務所、金融ビジネス区、繁華街、商業サービス区、高級住宅地域などが設けられ、「ダイヤモンドの港」と称されています。商業施設、オフィス、高級住宅や5つ星ホテルが開業するなど、今後も発展が続くエリアです。ダボス会議センターやヨットハーバー、東方水城など観光スポットの面も持ち合わせたCBDであると考えます。

なぜオリックスに入社したのですか。

 私はオリックス入社前はコンサルティングの仕事をしていました。コンサルタントの仕事は投資をアドバイスするまでで、自ら投資をして経済を動かすことができません。自ら投資を行う仕事をしてみたいという気持ちがあり、オリックスの事業に興味を持ちました。

なぜ日本語を学ぼうと決めたのですか。

 実は元々日本語を学びたい!という熱意があったわけではなく、その当時志望大学の私が申し込める枠が日本語専攻しかなかったからなのです。とはいえ、小学生の頃から日本のテレビゲームで遊んでいたり、アニメを観たりと日本語に触れる機会があったことや、祖父が瀋陽の雑技団のトップで、瀋陽の友好都市である札幌に行っていたり、父も貿易の仕事をしていたこともあり、日本語や日本文化に違和感は全くありませんでした。

これまでの仕事で印象に残っていることは?

 オリックス中国が、2015年に「STAND BY MEドラえもん」を中国に導入したことです。2012~2014年の3年間、国際的な理由があり日本のアニメは中国の映画館で上映されていなかったのですが、そうした状況下でも「オリックスであれば任せられる」と日本の配給会社に信頼いただき、公開する事ができました。幸運にも「STAND BY MEドラえもん」は大ヒットを記録し、それから毎年「ドラえもん」シリーズをオリックス中国が中国に導入しています。そのほか、中国映画の日本への導入も行っています。映画は、両国国民の相互理解を深める役目も果たしており、大切な事業の一つです。

今後の目標をお聞かせください。

 中国と日本はビジネスにおける互換性が非常に高い2つの国です。地理的にも近い隣国であり、共に力を合わせれば、様々な事が実現できます。一方で情報のギャップも大きく、文化や商習慣の違いなどで噛み合わないこともあります。オリックスは日本と中国での経験と強みを生かして、両国のブリッジ役を果たしていきたいと考えています。

 この交易広場も、単なるオフィスビルというだけではなくコミュニティを形成していきたいと考えております。東港商務区の一大商業施設となるべく、商業テナントも品質の高いテナントを誘致しております。もちろんご入居いただくことは大歓迎ですが、入居企業でなくとも、大連に根ざす企業として日系企業の皆様をサポートさせていただきたいです。ぜひお気軽にご相談いただければと思います。