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インタビュー
2026年1月15日

大連日本語教師会25周年記念インタビュー
変わりゆく日本語学習と教師会の挑戦

大連日本語教師会 会長
嘉立思(大連)教育諮詢有限公司 総経理
谷口 恵(たにぐち めぐみ)氏


大阪市吹田市生まれ,名古屋育ち。2003年に日本から大連へ転居し、現在大連生活は22年目。
語学専門学校の日本語教師や日系コールセンター、日本語スクールでの勤務を経て、2006年に大連ソフトウェアパーク(DLSP)に入社。2008年には大連日本語教師会会長に就任。2019年にDLSPを退社し、嘉立思(大連)教育諮詢有限公司を設立、企業向けの日本語教育事業に従事している。大連日本語教師会会長のほか、大連国際愛楽交響楽団の日本側代表、茶道裏千家大連同好会幹事、大連ITクラブ副会長なども歴任。
2009年には大連市より、中国の発展に貢献した外国人に贈られる星海友誼奨を受賞。2025年3月には、日本と諸国の相互理解や友好親善の促進に貢献した個人・団体に送られる在外公館長表彰を受賞している。


大連日本語教師会とは、どのような組織ですか?
 大連日本語教師会は、2000年に発足し、今年10月で25周年を迎えます。私は2003年に大連に来て、2005年に入会しました。以来、地域の日本語教育に携わる多くの方々とともに活動を続けています。
どのような活動を行っていますか?
 発足当初は、年6回の例会を開催し、会員同士の交流や情報共有を活発に行っていました。現在は例会は年2回ほどに減っていますが、それ以外にもスピーチ大会の審査、日本語サークルの支援、文化講座での講師派遣、教材作成のサポートなど幅広い活動を行っています。こうした取り組みを通じて、教師会を長く継続させ、地域の日本語教育に貢献していきたいと考えています。
教師会の活動の方向性について教えてください。
 結成当初は日本語教師のブラッシュアップが主な活動目的でした。ところが2010年代から、IT・機械・財務などの分野と日本語を組み合わせた「日本語+専門スキル」を持つ人材の需要が爆発的に伸び、さらに、日本とのビジネスを展開するコールセンターやソフトウェア開発企業も増えたことで、日本語教育にもより高い専門性が求められるようになりました。コロナ禍以降は、この傾向がさらに強まり、「日本語+α」の形で、専門分野に対応できる日本語人材の育成が重要になっています。
このような背景から、教師会として現在は、大学に所属する教育者と社会で働く日本語関係者との橋渡しを行い、教育現場と社会の両方で活動する人たちが互いを理解し合えるプラットフォーム作りを目指しています。


25周年を記念した記念フォーラムが開催されるそうですね。
 はい、11月22日に開催します。日本語教育関係者、日本語教育に関心のある方ならどなたでもご参加いただけます。これまでの歩みを振り返り、そしてこれからの日本語教育について一緒に考える場として、記念フォーラムを開催いたします。この記念大会が、人と人をつなぎ、新しい学びや気づきを共有し、未来へ向けて共に歩んでいくきっかけとなることを願っています。
フォーラムにテーマはありますか?
 25周年記念フォーラムのメインテーマは、「ダイナミックに変わる日本語教育ー日本語教育のパラダイムシフト」です。帝京大学グループ学校法人千駄ヶ谷教育学園千駄ヶ谷日本語学校副校長の新山忠和氏に基調講演をいただくほか、3名の講師の方に日本語教育に関する特別講演をいただきます。
日本語教育の変化とともに、日本語教師自身のキャリアパスにも注目し、多彩な講演者をお招きしています。登壇者の選定や企画はすべて私が担当し、「これからの日本語教育をどう描くか」を一緒に考える機会にしたいと考えています。
25年間で、日本語学習者の学習動機や傾向に変化はありましたか?
 大連では、以前は「日系企業に就職したい」という明確な目的で日本語を学ぶ学生が多く見られました。しかし現在では、「日本に行きたい」「日本文化が好き」「趣味として学びたい」といった学習動機の多様化が進んでいます。特にこの10年では、大学で日本語を専門的に学ぶ学生の数が減少していますが、一方で学習目的や方法は多様化しており、数字だけでは学習者の実態を把握することが難しくなっています。
体感としては、日本語愛好者は依然として多いと感じています。アニメやゲームが好きな若い世代が学ぶケースに加え、ビジネスや旅行をきっかけに高齢になってから学ぶ人も増えています。また、「将来日本に住みたい」「日本で働きたい」と考える学習者も増えているほか、子どもの将来の日本留学を視野に、早い時期から日本語を学ばせたいと考える保護者も増えており、年齢層や学習目的の幅が一層広がっています。

中国経済の変化は、日本語学習者や学習の目的に影響を与えていますか?
 はい、中国経済の不況により、日本語学習者のキャリア観にも変化が見られます。以前は日系企業から欧米系企業へ転職する人が多かったのですが、近年は「日系企業の安定性」に注目する人が増えています。その結果、「日系企業に勤めていてよかった」と感じる人や、「日系企業で働きたい」と考える学習者も増えてきました。
日本語教師のキャリアについて課題はありますか?
 現在、日本で日本語を学ぶ人は中国人だけではなく、さまざまな国籍の人がいます。そのため、「中国での教育経験がそのまま生かせない」という現実があります。あります。例えば、日本で再び日本語教師として働こうとしたときに、中国での経験が他国の学習者に対応できる力として評価されにくいという課題です。
今回のフォーラムでは、教師だけでなく日本語教育に関心のあるすべての方に参加してもらい、多様な立場の人が学びを得られる機会にしたいと考えています。
現在の教師会の活動内容を教えてください。
 現在の大連日本語教師会は、地域社会と連携した活動に力を入れています。
具体的には、日本語スピーチ大会の審査、日本語サークルの支援、文化講座での講師派遣、教材作成や教育関連書籍の執筆サポート、留学相談などを行っています。年に2回ほどの例会や懇親会を開催し、会員同士の交流を促進しています。
教師会の存在は、中国国内では徐々に減少傾向にありますが、大連では長く継続して地域全体の日本語教育に貢献していくことを目指しています。北京日本語教師会とは今も交流を続けており、こうしたネットワークを通じて活動を広げています。教師会に興味のある方はぜひお問い合わせください。一緒に日本語教育を盛り上げていきましょう!