
中国・大連に新たにオープンした「KOKUYO&Lamexショールーム」。ここでは、単なる家具の展示にとどまらず、働き方改革やABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)といった最新のオフィスデザインの考え方を体感できます。
本誌では、ショールームの運営を行う孫濤総経理と国誉家具(中国)の押川宣比古営業本部長に、ショールーム開設の背景や中国市場の現状、そして「これからのオフィスづくり」に込めた思いを伺いました。
大連宏宇建実業発展有限公司 総経理
孫 濤(そん とう)氏
大連出身。日本での留学、就職を経て2006年から2016年までコクヨ大連事務所の所長を務める。2016年、コクヨが中国拠点の運営方針を直営から代理店販売へ移行した際、大連事務所の閉鎖に伴い独立。コクヨオフィス家具の契約代理会社として大連宏宇建実業発展有限公司を設立。オフィス空間のデザインから内装・設計、家具提供までワンストップサービスを展開。
国誉家具(中国)有限公司 董事・営業本部長
押川 宣比古(おしかわ のぶひこ)氏
1973年11月6日、大阪府八尾市生まれ。神戸大学経済学部を卒業後、1998年にコクヨ株式会社へ入社。法人営業を担当。2016年、ドイツ高級家具メーカー販社・ウィルクハーン・ジャパン株式会社の代表取締役社長に就任。2019年からはタイ・バンコクにてKOKUYO INTERNATIONAL (THAILAND) の代表取締役副社長。2023年より国誉家具(中国)有限公司北京分公司 総経理、2025年からは同社の董事・営業本部長(上海勤務)に就任。現在に至る。
【1】ショールーム開設の経緯と狙い
「KOKUYO&Lamexショールーム」を開設した経緯
孫:これまでもオフィス家具の販売は行ってきましたが、単に製品を見ていただくだけではなく、「これからのオフィスづくり」を体感していただける場所をつくりたいと考えました。家具の展示に加え、空間構築の方法やレイアウト提案を、実際の空間としてご覧いただけます。
国誉家具(中国)と宏宇建実業発展の関係
押川:国誉家具(中国)は2003年に設立されたコクヨの中国現地法人で、中国全土でオフィス家具や内装のコンサルティングを展開しています。その中で、孫さんの会社である大連宏宇建実業発展有限公司は2016年に設立され、大連地域の正規代理店として事業を担っています。
孫:私たちは地域のパートナーとして、国誉家具(中国)から供給を受け、大連のお客様にワンストップでオフィス空間の設計から施工、家具導入まで提供しています。例えるなら、国誉家具(中国)が「メーカー」、私たちが「正規ディーラー」のような役割です。
ショールームで体験できること
押川:ショールームでは、コクヨが日本で培った働き方改革の知見を生かした空間提案を行っています。家具の質感や機能はもちろん、空間の使い方、動線、照明や色彩まで含めてオフィス全体を体感していただけます。家具はコクヨ製、Lamex製のどちらも選択可能で、Lamex社は中国に生産拠点を持つため、迅速な供給や柔軟な対応が可能です。これにより、お客様のニーズに応じて最適な家具と空間設計を組み合わせた提案が可能になっています。
今後の中国市場での展望
孫:単に家具を納めるだけでなく、オフィス移転や改装の企画段階から関わる「空間づくりのパートナー」でありたいです。設計から内装まで含めたワンストップ対応を強みに、企業の生産性向上に貢献していきます。
押川:中国市場は都市ごとに働き方やニーズが異なります。大連ショールームを拠点に、大連の企業様に最適なソリューションを提供し、KOKUYO&Lamexの価値を広げていきたいですね。
【2】大連から発信する“これからのオフィスづくり”
― 孫濤 総経理に聞く
アフターコロナのオフィスの変化は
孫:一番大きな変化は「働き方改革」と言われますが、それは同時に「コミュニケーションの改革」でもあると考えています。小人数の打ち合わせやオンライン会議が増え、それに合わせた設計が必要になりました。電話ボックス型の集中ブースやリラックススペース、カフェスペースなど、インフォーマルなコミュニケーションができる環境が求められています。
最近のオフィス規模や市場の変化について
孫:現在はオフィスの拡大よりも、縮小や改修、部分リノベーションの案件が増えています。フリーアドレスやABWを取り入れることで、省スペースでも窮屈さを感じさせず、生産性や従業員満足度を高められます。アフターコロナや米中貿易摩擦で大型投資は減ったものの、家具や内装へのニーズは高く、市場変化に柔軟に対応することが求められています。
ABWという新しい働き方
孫:最近要望、提案ともに増えているのがABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)を導入したオフィスです。これはオランダ発祥の概念で、時間や場所を自分で決めて働くスタイルです。フリーアドレスは「席を固定しない」仕組みですが、ABWはさらに拡張され、働く時間も自由に選べます。私たちはオフィスにその考えを取り入れ、状況に応じて働き方をスムーズに切り替えられる環境を提案しています。
コクヨ入社から代理店設立までの経緯
孫:日本での留学・就職を経て、2006年からコクヨ大連事務所の所長として10年間オフィスづくりに携わりました。2016年、コクヨが中国拠点を北京・上海・深圳に集約することになり大連事務所は閉鎖。地元を離れられない事情から転勤を断り、代理店として独立する道を選びました。
独立して代理店になってからの変化
孫:コクヨ時代は営業担当でしたが、独立後も仕事内容自体は大きく変わりません。ただ、経営者として全てのことに責任を持つ必要があります。会社員時代は自分の担当業務に集中すればよかったですが、今は経営全体を見なければなりません。設立して1年ほどで慣れましたが、コクヨ時代の研修や経験が大きな支えになっています。
選ばれる理由、そして強み
孫:コクヨ在籍時に培った知識と経験を生かし、日本語での対応も可能なため、大連に根差した迅速なサポートが可能です。設計から施工まで自社で手がけられるうえ、顧客の約95%が日系企業で安心して任せられます。家具だけでなくオフィス空間全体を理解し、国際水準の知見を地元価格で提供できる点も強みで、文具から家具、内装工事まで一括対応できるのもコクヨならではの特徴です。
この仕事の魅力
孫:学びの多い仕事である点です。プロジェクトを最初から最後まで担当することで、大きな成長を得られました。社内研修も充実しており、常に新しい学びを得られる環境でした。
コクヨの家具や内装は品質が高くメンテナンスが少ないため、お客様からの信頼を得やすい点も魅力です。その信頼に応えながら、常に新しい課題に挑戦できることが、私にとってのやりがいです。
大切にしていること
孫:私たちは、お客様の声を丁寧に聞き、期待以上の価値を提供することを大切にしています。デザイン性だけでなく、健康や安全にも配慮したオフィス空間づくりを心がけ、納期や品質にも細心の注意を払っています。物件が完成した際に「想像以上に良かった」と言っていただける喜びが、何よりの原動力です。
休日の過ごし方
孫:趣味はサッカーで、高校時代の同級生たちとチームを組み、定期的に試合を楽しんでいます。ほかにもエレベーターを極力使わず階段を登ったりジムに通ったりと、運動を習慣にしています。人はどうしても怠けがちなので、運動を生活に組み込むことが大切だと考えています。この「自立して自分を律する」姿勢は、コクヨ時代に学んだものです。
【3】グローバルで学んだ「オフィスづくり」の面白さ
― 押川宣比古 営業本部長に聞く
コクヨ入社のきっかけ
押川:私は1998年にコクヨへ入社しました。就職活動のときから「メーカーで働きたい」という思いがありました。特にオフィス構築という仕事が面白そうだなと感じて、コクヨに入社しました。きれいなオフィスで人がいきいきと働いている姿に、とても魅力を感じたからです。
オフィス構築の仕事の実際
押川:実際にやってみると、設計から施工までワンストップで提供する仕事なので、内装や家具だけでなく建築業界全体の知識も必要です。オフィス施工は土日に行うことも多いため、休みなしで働いていた時期もありましたが、その分やりがいも大きかったです。
日本、ドイツ、タイ、そして中国での経験
押川:日本でドイツの家具メーカーの代表を務め、その後タイで駐在した経験を経て、現在は中国を拠点にしています。国ごとに文化が違い、オフィスづくりや働き方への考え方も異なります。
日本は自律的に働く人が多いためフリーアドレスやABWが浸透しやすいですが、中国では「自分の席が大事」という考えが根強く、固定席の企業が多いです。また、施工面では中国は日本に比べて設備制限が少なく、より自由に空間を構築できる面白さもあります。
マネジメントの面では、国ごとに人々の意識がまったく違うので難しさを感じることもありますが、いろいろな人に出会い、支えられてきたことを実感しています。
大切にしていること
押川:私が常に大事にしているのは「お客様の声を聞き、課題を見つけて役に立つこと」です。これからも、各地域で魅力的なオフィス空間を提供し、皆さんの人生をより実りあるものにするお手伝いをしていきたいと思っています。
大連での取り組みについて
押川:大連での業務は、基本的に孫さんの会社に一任しています。安心して任せられるビジネスパートナーだと考えていますので、まずはショールームに足を運んでいただき、「空間構築の概念」を体感してほしいですね。私自身も大連でたくさんの友人に恵まれましたし、これからも訪れる機会があると思いますので、引き続きよろしくお願いします。







