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インタビュー
2025年1月2日

挑戦を続ける姿勢で築く安心の住環境 中国事業にかける思いと未来の展望

大連槐城別墅有限公司(アカシアビラ)

金田一 賢氏(きんだいち・けん)

 北海道室蘭市出身。東京都内の大学に進学後、大手不動産会社に入社。建物の管理業務を担当。入社3年目に中国事業の管理責任者枠への異動を志願し、大連へ赴任。現在は大連アカシア別荘有限公司にて、現地での住環境の改善と顧客満足度向上に尽力している。

アカシア別荘について

 アカシア別荘は、日本人向けのサービスアパートメントです。1992年、開発区の日系企業の進出に合わせて、日本人が安心して生活できる住環境を提供するために開業しました。敷地面積は約3万6千平方メートルで、現在、入居者は約250人、その大多数が日本人です。

アカシア別荘の特徴

 当社では、アパート(1LDK)、マンションタイプ(1DK~3LDK)に加え、タウンハウス(2LDK、3LDK)や戸建て(3LDKタイプ複数)まで、多様な住戸タイプをご用意しております。また、物件の安全性を重視しており、日本にいるような安心感を提供できるようセキュリティを万全に整備。さらに、24時間日本語対応のサービスを実施しています。

 生活面の利便性も充実しており、敷地内に日本人学校があるほか、食事処や病院などの生活施設へのアクセスも良好です。また、お客様の要望に応じた物件リフォームや、日本製家具・家電への変更サービスを提供することで、快適な住環境を実現しています。

リフォームについて

 お客様の満足度向上を目指し、リフォームには特に力を入れています。私自身も頻繁に日本を訪れ、日本の住居トレンドを調査し、それを反映させつつ、日本らしい魅力を活かした空間作りを進めています。

 具体的には、家具の配置の最適化や収納の見直し、間取り変更など、細部にわたる改修を行い、リフォーム済み物件を増やしています。その数は全体で見るとまだまだ少ないですが、2025年には投資を増やし、お客様に合ったリフォームのご提案ができるよう努力していきたいと考えております。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

「お客様の要望に応じたリフォーム」とは

 新たにオーダーメイドのリフォームサービスも開始しました。企業様のご予算に合わせて、部屋の内装や家具家電をカスタマイズし、個別のニーズに応じた快適な住空間を提供しています。トレンドや新しいものが必ずしも最適ではないこともあります。例えば、「元々の家電の方が使いやすいので戻して欲しい」というご要望があったケースも。そのため、お客様とのコミュニケーションを大切にし、一人ひとりのニーズに応えることを重視しています。これが当社の強みであり、こだわりでもあると考えています。

大連に赴任する日本人の数の変化

 大連全体を見ると、赴任する日本人の数は減少傾向にあるようです。しかし、これはどの業界・業種においても共通する傾向であり、この状況に対して不平や不満を述べても意味がないと考えています。そのため、現状に適応できるスキームや仕組みづくりに注力しております。

 弊社の強みは、前述した日本人にとって住みやすい環境に加え、日本人学校が敷地内にあることや、セキュリティ面の強さにあります。この強みを重要視してくださるお客様に対し、最大限の価値を提供できるよう、これからも努力を続けてまいります。

自ら希望して中国に赴任した理由

 当時、「より成長できる環境で仕事がしたい」という強い思いを抱いていたタイミングで、中国事業の責任者の募集がありました。挑戦するチャンスだと考え、迷わず手を挙げました。当時は入社3年目、25歳で管理職の経験はありませんでしたが、社内での試験を通過し、任せていただくことになりました。どの地域に赴任するのかが決まったのは、その後のことでした。

赴任されてからの1年を振り返ると

 赴任当初は、言葉の壁や海外生活の不安からストレスを感じることも多く、特に総経理としての責任の重さを実感する上に、様々な経営判断を求められる中で、最初は判断基準や知識が不足しており、毎回調べながら進めていく日々が続きました。しかし、時間が経つにつれて、環境にも徐々に慣れ、自分なりの判断基準や仕事の進め方が見えてきました。そして、現地スタッフとの信頼関係を築くことができ、今ではチーム全体での協力を得ながら、より効率的に業務を進められるようになりました。さらには、自分の周りの素敵な友人や諸先輩方の支援のおかげで、プライベート面が非常に充実していたことも印象に残っています。なんでも話を聞いてくださる素敵な方々に恵まれたことで、今の自分がいると思っています。感謝してもしきれない思いです。

仕事をする上で大切にしていること

 職業選択の基準としては、まず「自己成長」を重視しており、その思いから中国での仕事に挑戦しました。一方で、日々の仕事においては「相手のためになっているか」を大切にしています。

 基本中の基本ですが、我々は費用をお支払いいただく代わりに、それに見合うサービスを提供することでお金を頂いていることを、常に意識するようにしています。時勢や社内環境に応じて状況は常に不変ですが、その基本を曲げずに公平公正なサービスができるよう努めています。この考えは、従業員の皆さんにも日々伝え続け、素敵なチームになることを目指しています。

これまでの中で特に印象に残っている出来事

 私のお願いしたことを基に、従業員の皆さんが変化や成長を逐げたと感じた瞬間が非常に印象深く、記憶に残っています。先述したような考えを理解してもらえず、自己都合で仕事を進め、お客様のために十分な努力ができていない従業員も少なくありませんでした。彼らに対しては、時に厳しい態度で向き合い、「私がなぜそのように接するのか」「どうして変わらなければいけないのか」「どうやって変えていくべきなのか」を丁寧に説明し、それを継続しました。その結果、完璧な理解には至らなかったものの、お客様のためにはどんな行動をとるべきなのか自分で考え、実行する従業員が少しずつ増えてきたと感じ、とても感動することがありました。詳細なエピソードはお客様の個人情報に関わるためお伝えできませんが、正直なところ、言葉が上手く通じなくとも、想いは伝わるのだと実感し、涙が出そうになるくらいうれしかったです。

好きな言葉

 エーリッヒ・フロムという哲学者がのこした『たくさん持っている人が豊かなのではなく、たくさん与える人が豊かなのだ』という言葉です。物質的な贈与もそうですが、私は多くのリソースを持っているわけではないので、楽しい時間を提供することや、新たな出会いを演出することを、関わった方にできるよう心掛けています。これは、先ほどまでお話していたお仕事の話にも通じるかと思います。この言葉は『愛するということ』という本に収録されており、他にも主体的に素直に他者へ好意を伝えること、例えばありがとうなどの感謝の言葉を日々相手へ伝えることなど、多くの素敵な思想が詰まっています。オススメなので皆さんも読んでみてください。

休日の過ごし方

 友人と過ごすことが多いです。先ほどお話した通り、私自身が大連に来たばかりの頃、友人に大きく助けられた経験がありました。同じように日本から赴任してきたばかりの方やそのご家族が頼れる仲間を見つけられるよう、交流会等を企画して不定期に活動しています。特に90年生まれ以降の若手は人数が少ないため、「90后会」を立ち上げ、皆で楽しく交流しています!もしかしたら日本時代よりも同世代と楽しく過ごしているかもしれません(笑)。自分がきっかけとなり、新たな仲間の輪が広がっていく様子を見るのはとても嬉しく、これから私の作った縁からどんどん輪が広がり、素敵な出会いがたくさん増えることを願っています。

今後の目標

 現在提供しているサービスの質をさらに向上させることに加え、継続的にサービスを提供できる仕組みづくりに注力していきたいと考えています。特に、従業員の育成には力を入れ、チーム全体で成長できる環境を整えることを目指しています。弊社では高年齢化が進んでいますが、若い世代を積極的に登用し、世代を超えて協力しながら、「大連に駐在または出張で滞在するならアカシア別荘」と、宿泊先のファーストチョイスとなれるよう努力を続けてまいります。