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インタビュー
2024年8月1日

三菱ロジスネクストグループとして一体感を持ち

世界中のお客様にご満足頂ける高品質のフォークリフトをお届けする

三菱物捷仕叉車(大連)有限公司

董事・総経理 門池 昭氏(かどいけ・あきら)

 1973年5月18日東京都生まれ。東京工業大学を卒業後、98年三菱重工業株式会社入社、製造部生産技術課へ配属。2005年1月から08年12月にかけて米国駐在、2011年10月から15年12月まで製造部長として大連駐在。2021年2月に総経理として再び大連へ赴任し、現在に至る。

会社について

 弊社は2009年に三菱重工の海外生産工場としてオペレーションを開始し、2024年7月1日をもって、社名を「三菱重工叉車(大連)有限公司(三菱重工フォークリフト(大連)有限公司、略称:MFD)」から「三菱物捷仕叉車(大連)有限公司(三菱ロジネクストフォークリフト(大連)有限公司、略称:MLD)」に変更しました。現在の位置づけはフォークリフトを含む物流機器事業に特化した三菱ロジスネクストグループの海外生産工場です。今回の社名変更は、現在の親会社である三菱ロジスネクスト株式会社の商号を冠し、三菱ロジスネクストグループとして一体感をもって事業に取り組み、更なる発展を目指すものです。

グループ全体で、大連工場が果たす役割とは

 三菱ロジスネクストグループの製造拠点として、同グループの販売拠点にフォークリフトをお届けしております。お届け先は日本と北米を除く全世界であり、今特に需要が高い地域は東南アジア、その次が中近東です。

 大連は日本語の人材が豊富で定着率も高く、地理的にも港に近いため、グループの生産拠点としても重要な役割を果たしています。特筆すべきは言語能力の高さで、弊社ナショナルスタッフの間接員の大部分は、レベルの差はあるものの日本語か英語を話すことができます。

強みやその他の企業との違いは

 日本の企業文化を踏襲し、日本と同等の品質を確保できるように尽力しており、それが大きな強みの一つと考えています。2009年の生産開始時には延べ数十人の指導者を日本から派遣し教育を実施しました。従業員の定着率は高く、生産開始時の離職率は数十パーセントでしたが、ここ数年の離職率はわずか数パーセントです。15年近く働いてくれている社員が多く、会社を引っ張ってくれています。

ロボット・自動化設備の導入について

 溶接と塗装工程ではロボットを導入しており、工場内の物流では AGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)を導入しております。組立や部品収集はまだ人手に頼るところが多いのですが、最近は「音声認識検査システム」という検査工程の電子化を推進しています。従来検査に使用していた紙のチェックシートを廃止し、検査指示と検査完了報告を音声で行うことで、チェック漏れや記載ミスを防止するとともに、検査作業時のハンズフリーを実現しています。

2回の大連駐在で感じること

 2009年から日本側で大連工場の立ち上げに携わったのち、11年から15年まで製造部長として大連で勤務していました。2021年からは総経理として2回目の大連駐在となり、現在に至ります。前回の駐在時に働いていた仲間も多く、仕事のしやすさを感じています。

以前の駐在時は製造現場で、ものづくりが業務のメインでしたが、今回は総経理ということで、仕事の内容も大きく変わりました。現場を離れ、販売会社や親会社、あるいは社内の部門間の連携などに関わることが多く、対立する場面もあり、難しいことも多い仕事です。どうやって同じ方向を向くことができるか、道標をつくろうと工夫しています。

中国で働いて感じることは

 中国の印象は、進化が速いことと、何でもやってみるという物事への取り組み方です。やってみてからの修正・是正の早さにも驚かされます。1回目の駐在の時はWechat Pay(スマートフォン決済)も滴滴(配車サービス)もありませんでしたので、今回の駐在では、中国の電子化の発展の凄まじい速さに驚いたものです。スーパーなどでの支払いも電子マネーで、今回の駐在では殆ど現金を使用していません。駐車場のゲートのナンバープレート管理システムなどが、大連でも当たり前のように使われていることも驚きます。民間企業だけでここまでのスピードで発展することは難しいのではないかと思います。

 また、米国でも3年間勤務していましたが、その米国と比べると、仕事におけるコミュニケーションに関しては日本と中国は似ていると思います。

日中拠点の交流はありますか

 以前は出張者による相互交流を行っていました。私が2回目の駐在を開始した2021年当時はコロナ禍の影響もあり、交流が殆どなく、電話会議やテレビ会議で対応せざるを得ませんでした。現在は、日本からの出張者も徐々に増えており、これから活発になることを期待しています。また、機会があればナショナルスタッフも日本へ研修に行ってもらいたいと考えています。

近年の大きな変化は

 2021年からMLDでもバッテリー車の生産を開始しました。今まではエンジン式のみでしたが、バッテリー車も生産すること、お客様のニーズに合わせてお届けできる製品ラインナップが増えました。

仕事で心がけていること

 現在はナショナルスタッフが成長したので、通常のオペレーションは安心して任せることができています。強いて言えば2点あります。1つ目は、ナショナルスタッフを叱咤激励する際には、皆の前で叱るべきか褒めるべきかなど、時と場所を意識しています。2つ目は、ナショナルスタッフの意見が違う時の対応。自己主張が強いので少し苦労することもありますが、「あるべき姿は?目的は?」と問いかけたり、「まずやってみよう!試してみよう!前向きに!」などと言い方を変え、同じ方向を向くことができるよう工夫しています。

中国人の社員とのコミュニケーションにおける心がけ

 弊社は日本語が堪能なスタッフが非常に多いですが、考えや思いなど抽象的な事柄については、正しく伝わっていないこともあります。そのため、私が伝えたことをもう一度繰り返し言ってもらい、正しく伝わっているかを確認するようにしています。また、以前は指示を待って動く社員が多かったので、意見を自分から発信してもらうようにしています。受け身の社員は伸びないですし、スタッフのより良い意見を尊重したいからです。

今までで最も印象に残ったプロジェクト

 やはり、このMLDを立ち上げるプロジェクトです。私は生産技術担当で日本で取りまとめを行っていました。設備を現地調達したものの、仕様や納期などを調整するのに非常に苦労した覚えがあります。この時も頼りになったのはナショナルスタッフでした。彼らが前向きに一緒に業務を推進してくれたため、非常に速い期間で工場建設から生産開始まで進めることができました。

座右の銘や、仕事で大切にしている信念

 「明るく楽しく元気よく、前向きに」会社は人が支えており、人のつながりが大切です。朝の挨拶で始まり、帰る時の挨拶で終わるように声かけをすることで、少しでも活発な会社にしたいと思っています。そして社員には「失敗はあるかもしれないが、それも経験になる。物事は始めないと進まない、まずはやってみよう!」と伝えています。

現在の目標

 様々な要因がありますが、フォークリフトの事業環境は非常に厳しい状況です。スタッフに対しては、「みんなで痛みを分かち合いながら一緒に乗り超えていこう。その為には、新しい事にどんどん挑戦していこう」と伝えています。

 社名変更を機に、まずは三菱ロジネクストフォークリフト大連という会社があることを大連の皆様に知っていただければ嬉しいです。